今だからわかること
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あのことについて、今だからこうすればよかったのではないだろうか。この答えは、もしかしたらその問いにもよるでしょうが、考えるだけ新しい答えが見つかるかもしれません。
でも考えても考えてもずっと後悔の答えが正解と思ってしまったり、他の答えが見つからない場合もあります。私の場合、「ああ、どうして社会が、あの時の制度がなかったからだ。」が答えだとずっと思っていたことがあります。そして。自分は何もできない、できなかったと後悔の気持ちでずっといっぱいでしたし、虚しいままでした。
この問いは何かと言いますと、実は少し前にこちらでも書きましたが、中学時代の親友の自死を止められなかったことです。
当時、わかってあげられなかったと心を苦しめたのと同時に、今のようにフリースクールや通信高校等もあればちがっていただろうにと社会の未成熟が原因と考えました。つまり、私は何もできない存在だったと。
最近、自分の心の探究の一つとして、今までで初めて生育歴を書く機会がありました。どうして今の自分になったかを自分なりに何が影響しているか考えて文字化するのです。非常に恥ずかしく、とても骨のいる作業でした。そしてこの時に、彼女のことを初めて深く見つめて書きました。
そして書き終えて、本来ならば見返さないといけませんが、それすら恥ずかしく、そのまま提出してしまいました。しかし、このように一度文字化すると、自分の心の中には当時のことが非常に蘇ってきます。そして気がつきました。
少しその時のことを思い出しますと、中3の時に限らず、小学生の頃から、先生から、勉強の好きでないクラスの人を隣の席に座らせるようにされ、勉強を教えてあげていたとー。自分の親友は隣に先生がすることもなかったですし、多少は得意でないこともあったかもしれませんが、何が苦手とかも全く知りませんでしたし、彼女も私に聞いてきたりしませんでした。しかし、私は試験に不安だという言葉は聞いていました。だったらその時に、一緒に勉強しないと言えたのです。言っても良かったはずです。もちろん言ったから、彼女が喜んでしたかは分かりません。もしかしたら、私が生育歴を今回書いたときの恥ずかしさのように、自分も受け止めることを私とするのが恥ずかしくて、拒否したかもしれません。しかし、私は彼女に提案することはできたのです。
昨年、機会に恵まれ手話講座を受講しました。やったことのない手話は非常に難しく、やらないとすぐに忘れてしまいます。今年も続きの講座が予定されているそうです。この講座に日程さえ問題なければぜひとも参加したいと思っています。ところが、次回はもやらないというかたがいました。とて楽しそうに受講されてたので、理由を尋ねると、今回の講座に、初期講座をすでに他で受講して2度目だった方がいて、その方が周りを気にせず、他の受講生のこと勉強の機会を削ぐようなことが何度かありました。それを非常に気にしてだったのです。
この時、私も忘れないように手話を続けられるよう何か手話サークルに入ろうかと考えて検討したのですが、時間と曜日が合わず、参加が難しいことを悩んでいました。そこで、彼女に近くで都合のいい曜日と時間で新しく、今まで習った手話をただ復習するだけの機会を持ちませんかと提案することができました。とても喜んでくれて、やってみたいと言ってくれ、本当にやり出せるかわかりませんが、仲間を集めて準備してみようとなりました。
自分が少しでもできることのヒントは近くに隠れているのかもしれません。
中学の親友を助けることを今でもずっと考えていなかったら、そして今回の思いもよらない自分の生育歴の文章にしてみることの機会がなければ、手話サークルを新しく作りましょうという、今回の提案はすっとしてさしあげることができなかったと思います。
どなたでもいろんな経験をして、成功もあり、失敗もあり、楽しいこと、辛いことがあると思います。
しかし自分で自分を知り、見つめるには、考えた後、文字化することがとても大切です。
今だから文字にやっとできたのも、自分の最も辛い経験の夫の死を、その辛さを文字化して伝えることで誰かがこんなに辛い気持ちと手続きの多さ、生活の不安さを抱えないようにと文字化して本にしたことでした。
あなたが乗り越えることで、あなたの周りの人を救う何かを見つけることが、今だからできるのかもしれません。そう思えた出来事でした。
リ・そうるけあ
高山和 たかやまあい